INTRODUCTIONイントロダクション

『HERO』『LOVERS』のチャン・イーモウ監督最新作

自由と引き換えの無謀な任務
大軍が待つ敵地へと向かう影武者の運命は──

カンヌ、ベネチア、ベルリンの世界3大国際映画祭で最高賞を含む数々の栄誉に輝き、『HERO』(02)と『LOVERS』(04)で、武侠アクションの一時代を築いたチャン・イーモウ監督。2008年には北京オリンピックの開会式を指揮し、今や円熟期にして絶頂期を迎えたアジアを代表する巨匠が、「私は長い間、影武者についての映画を作りたいと思っていた。自分が本当に撮りたい物語と巡り合った」と高らかに宣言した最新作が遂に完成した。
時は戦国時代、一人の影武者が、無謀な任務に挑もうとしていた。彼の暮らす沛(ペイ)国が領土を、強大な炎国に奪われて20年。奪還を願う男たちの燃え上がる闘志を束ねる、頭脳明晰で武芸の達人の重臣・都督(トトク)の影武者だ。影武者と都督、そしてその妻に騙されている若き王は、炎国と休戦同盟を結び、平和だが屈辱的な日々に甘んじていた。だが、影武者は都督の命令に従い、炎国の将軍にして最強の戦士・楊蒼(ヤン・ツァン)に対決を申し込む。都督は影武者に、自由と引き換えに、敵地での大軍との戦いを命じていたのだ。都督の勝手な行動に怒り狂う王も、実はある作戦を秘めていた。果たして、影武者を待つのは光か闇か、それとも──?

アジアの実力派俳優で放つ
「三国志」〈荊州争奪戦〉にインスパイアされた
武侠アクション・エンターテイメントの新たなる傑作!

都督とその影武者の一人二役には、『戦場のレクイエム』でスター俳優となったダン・チャオ。まずは筋骨隆々の肉体美を作り上げ、過酷な特訓と激しい格闘シーンの続く影武者パートを演じた。そして今度は、そこから20kgの減量を果たし、刀傷から病んでやせ衰えたが、燃え上がる王位への野心と、関係を疑う妻と影武者への嫉妬を活力に暗躍する都督役に挑み、鬼気迫る存在感でスクリーンを圧倒する。
大輪の華のような優美な佇まいに、繊細な情感を秘めた都督の妻・小艾〈シャオアイ〉には、TVシリーズ「宮廷の諍い女」のスン・リー。プライベートでもダン・チャオとは夫婦で、夫への変わらぬ敬愛と、彼が若々しく強靭だった頃と瓜二つの姿で自分は何者かと苦悩する影武者への想いと、二人の男の間で揺れる小艾を切なくも悲しく演じきった。
軟弱で意気地なしに見せて、本当は狡猾な沛国の王には、『グレートウォール』のチェン・カイ。権力を巡る駆け引きのどんでん返しを、スリリングに演じた。都督の忠実な家臣である田戦〈ティエン・チャン〉には、『鋼のピアノ』で東京国際映画祭最優秀男優賞を受賞した演技派俳優、ワン・チエンユエン。
「三国志」の〈荊州争奪戦〉をダイナミックにアレンジした脚本は、チャン・イーモウと新進女性脚本家のリー・ウェイ。二人で書き上げた斬新なストーリーを撮影するにあたって、チャン・イーモウが「私自身も新しい美学を生み出し、体現しようと挑戦した」のが、数千年の歴史を誇る中国の水墨画からインスパイアされた光と影のグラデーションが織りなす映像。『LOVERS』でアカデミー賞®と英国アカデミー賞にノミネートされ、全米批評家協会賞を獲得した、一流撮影監督のチャオ・シャオティンが、チャン・イーモウの監督生命をかけた初のチャレンジを完璧にサポートした。さらに、チャン・イーモウはカメラマンという、自身の職人としてのルーツに戻り、視覚効果とCGをほとんど使わないことを決意し、リアリティ溢れる生身の戦闘シーンを作り上げた。
第75回ベネチア国際映画祭を熱狂させ、映画レビューサイトRotten Tomatoesで支持率"95%"(※5/31現在)をたたき出すなど、世界中で絶賛されたチャン・イーモウの集大成にして、武侠アクションの新時代を切り開く傑作エンターテイメントの誕生だ!

STORYストーリー

─これは、そんな影武者の物語。

残虐な戦や権力抗争で、命を脅かされていた王や貴族は、
密かに身代わりを仕立て、それを“影”と呼んだ。

弱小の沛〈ペイ〉国は、領土の境州を奪った強大な炎国と休戦同盟を結んだが、それから20年、国民はいつまた攻めてこられるかと脅える日々を送っていた。沛国は若き王(チェン・カイ)を筆頭とする平和派と、重臣の都督〈トトク〉(ダン・チャオ)に従う開戦派に分かれていた。
ある時、都督は王の許しを得ず、炎国の楊蒼〈ヤン・ツァン〉将軍に境州での対決を申し込む。王は激怒するが、高貴で知略に富み、国民からも尊敬される都督を前にすると、責める言葉もなくなっていく。先王が早死にし、妹と二人の自分が王位に就けたのも都督のお陰だった。王は矛先を変えて、琴の名手と称えられる都督と妻の小艾〈シャオアイ〉(スン・リー)に合奏を命じるが、小艾は「境州が戻るまで琴は弾かないと天に誓った」と頑なに拒むのだった。
それもそのはず、王の前にいるのは都督の影武者だった。母と生き別れになり、飢えて行き倒れていた8歳の彼を都督の叔父が拾ってきて、影武者へと育て上げたのだ。1年前、都督が刀傷から病になったことを隠すために、いよいよ影武者の登場となったのだが、顔が瓜二つの彼に王さえ騙されていた。境州の奪還計画を進める都督は、影武者に「楊蒼を殺せば、自由の身だ」と約束する。
翌日、影武者は都督の筋書き通り、楊蒼に宣戦した己に厳罰を下すよう王に求める。王は彼を無官にすると、「今後、境州奪還を口にする者は斬首だ」と宣告する。それに対して影武者は、「私はもう一介の民。境州に行き、楊蒼と対決しても、殿とは無関係」と返す。都督の待つ館へ帰った影武者は、どんな相手も三太刀で必殺と言われる最強の楊蒼との対決に向けて、傘を武器にした技を磨くのだった。
王は和平のために、妹の青萍〈チンピン〉を楊蒼の息子に嫁がせようとする。だが、その返事は「姫を側室に迎えたい」だった。「それも一つの手立てだな」と答える王に、我慢も限界となった家臣の田戦〈ティエン・チャン〉(ワン・チエンユエン)が、「殺してやる! 楊父子の野郎め!」と叫び、王に「屈辱に甘んじるなら、殿の代で国は滅びます」と注進する。だが、王の心は変わらず、田戦は官職を解かれるのだった。
「私にも案が」と、特訓に行き詰った夫と影武者に申し出る小艾。女性の身体のように柔らかく傘を使ってみてはどうかというのだ。まさに柔をもって剛を制す、小艾のしなやかな動きが、都督の豪壮な攻撃をかわすことに成功、小艾はその技を影武者に叩きこむ。
約束の日が近付き、各々の思惑が交差していく。小艾は同情が愛へと変わっていった影武者の身を案じ、都督は忠実な家臣である田戦を呼び寄せ、“本当の作戦”を打ち明けて参戦を命じる。王は傷ついた青萍に「捨て石は誰だ?」と意味深な言葉をつぶやく。そして影武者は、都督の館での最後の夜に、小艾にある重大な告白をする。
遂に対決の時が来た。今、影武者は一人で、大軍の待つ敵地へと向かう──。

CASTキャスト

Deng Chao(ダン・チャオ)
都督/影武者
1979年、中国生まれ。『戦場のレクイエム』(07)で数々の賞を受賞して以来、中国で興収100億元以上を売り上げた映画に出演したとして、最も名声のある俳優の一人となる。そして、自ら出演もした『The Breakup Guru』(英題/14)で監督デビューを果たす。さらに、高い評価を受けた『The Dead End』(英題/15)に出演し、第52回金馬奨の最優秀主演男優賞にノミネートされ、金鶏賞と上海国際映画祭金爵奨では、最優秀主演男優賞を受賞した。最近では『人魚姫』(16)、『君のいる世界から僕は歩き出す』(16)、『乗風破浪~あの頃のあなたを今想う』(17)、『The Liquidator』(英題/17)などに出演している。中国トップのバラエティーショー「Keep Running」(英題/14~現在)のメンバーの一人でもある。
Sun Li(スン・リー)
都督の妻・小艾(シャオアイ)
1982年、中国、上海生まれ。評価の高い歴史ドラマ「宮廷の諍い女」(11)で演じた役で、国際エミー賞の女優部門にノミネートされ、広く知られるようになった。数々のTVシリーズでの役に加え、映画としては、第28回香港電影金像奨で最優秀助演女優賞にノミネートされた『画皮 あやかしの恋』(08)、『三国志英傑伝 関羽』(11)、『チャイニーズ・フェアリー・ストーリー』(11・未)、そして本作で共演し、私生活では夫でもあるダン・チャオの監督作品『Devil and Angel』(英題/15)にも出演している。TVシリーズ「月に咲く花の如く」(17)では主役を務め、飛天奨で優秀女優賞に輝いた。
Zheng Kai(チェン・カイ)
沛(ペイ)国の王
1986年、中国生まれ。『The Ex-File』(英題)シリーズでよく知られる俳優である。この大人気ロマンティックコメディシリーズの最新作である『The Ex-File 3: The Return of the Exes』(英題/17)は、中国の興収で19億元に達した。最近では『グレートウォール』(16)に出演し、国際的な知名度を得た。また『Personal Tailor』(英題/13)や『So Young ~過ぎ去りし青春に捧ぐ~』(13)、『君といた日々』(14)に出演したことでも知られる。
Wang Qianyuan(ワン・チエンユエン)
田戦(ティエン・チャン)
1973年、中国生まれ。『鋼のピアノ』(10)で、第23回東京国際映画祭にて最優秀男優賞に輝き、金馬奨の最優秀主演男優賞にノミネートされた。そして『ブレイド・マスター』(14)や『誘拐捜査』(15)、『ピースブレーカー』(17)、最近では『Lobster Cop』(英題/18)などにも出演している。

STAFFスタッフ

Zhang Yimou(チャン・イーモウ)
監督/脚本
1951年、中国、西安生まれ。カメラマンとしてキャリアをスタートし、『紅いコーリャン』(87)でベルリン国際映画祭金熊賞に輝いたことで、国際舞台に突如姿を現した。それから30年以上の間、並外れた作品群は、芸術としての功績と商業的な成功という両面で、世界中で高く評価され続けている。
作品のジャンルとテーマは『紅いコーリャン』、ベルリン国際映画祭審査員特別賞に輝いた『初恋のきた道』(99)、ベネチア国際映画祭銀獅子賞を受賞した『紅夢』(91)などの中国の田舎を舞台とした奥深くパーソナルな物語や、ベルリン国際映画祭アルフレード・バウアー賞を獲得した『HERO』(02)や全米批評家協会賞監督賞を受賞した『LOVERS』(04)などの武術ドラマ、カンヌ国際映画祭審査員グランプリを受賞した『活きる』(94)や『妻への家路』(14)などの20世紀の中国での社会的トラウマを感動的に綴る作品、マット・デイモンを起用した超大作映画『グレートウォール』(16)など多岐にわたっている。
その他の作品は『菊豆』(90)、ベネチア国際映画祭金獅子賞に輝いた『秋菊の物語』(92)、『上海ルージュ』(95)、『キープ・クール』(97)、ベネチア国際映画祭金獅子賞に輝いた『あの子を探して』(99)、『至福のとき』(02)、高倉健主演の『単騎、千里を走る。』(05)、『王妃の紋章』(06)、『女と銃と荒野の麺屋』(09)、『サンザシの樹の下で』(10)、『楊貴妃 Lady Of The Dynasty』(15)など。
チャン・ツィイー、コン・リーなどの女優の才能を見出し、賞に導いたことでも知られている。
1998年には、プッチーニのオペラ「トゥーランドット」を物語の舞台である北京、しかも紫禁城で初上演するという一大イベントで演出を務める。
2008年の北京オリンピックでは開会式を指揮し、世界的な名声を手に入れた。
Zhao Xiaoding(チャオ・シャオティン)

撮影監督

チャン・イーモウ監督の『LOVERS』(04)で、アカデミー賞®と英国アカデミー賞の撮影賞にノミネートされたことでよく知られる、中国の撮影監督であり写真家。チャン・イーモウ監督作品は『HERO』(02)、『単騎、千里を走る。』(05)、『王妃の紋章』(06)、『女と銃と荒野の麺屋』(09)、『サンザシの樹の下で』(10)、『妻への家路』(14)、『グレートウォール』(16)を手掛けた。2017年には『ワンス・アポン・ア・タイム 闘神』で監督デビューを果たした。
Ellen Eliasoph(エレン・エリアソフ)

製作

革新的な中国と外国の合弁映画スタジオであるパーフェクト・ヴィレッジ・エンターテイメントの社長兼最高経営責任者である。同社は、パーフェクト・ワールド・ピクチャーズとヴィレッジ・ロードショー・エンターテイメントグループ、そしてWME/IMGチャイナの合弁会社。長編映画の企画選定、開発、資金調達、製作、宣伝、配給という仕事を担う会社を率い、1993年にワーナー・ブラザースの北京オフィスを設立したことによって、中国を本拠地とするハリウッドの重役として初めての人物となった。また『ハリソン・フォード 逃亡者』(93)を、初のハリウッドからの分配収益映画として中国に輸入した。ワーナー・ブラザース・チャイナにマネージング・ディレクターとして長期間在職した際、『マトリックス』や『ハリー・ポッター』シリーズ、その他の同社の大作映画の中国での公開を手配・管理し、ジョニー・トー監督の『ターンレフト・ターンライト』(03)や、エドワード・ノートンとナオミ・ワッツが出演した『ペインテッド・ヴェール ある貴婦人の過ち』(06)、ニン・ハオ監督の『クレイジー・ストーン ~翡翠狂騒曲~』(06)と『Silver Medallist』(英題/09)、ベニー・チャン監督の『コネクテッド』(08)を含むワーナー・ブラザースの中国映画または共同製作作品で製作の重役を務めた。新作は『石頭』(17)、『サイバー・ミッション』(18)、『Guilt by Design』(英題/18~19)など。
Zhan Qiao(チャン・チャオ)

製作

中国最大の民間スタジオの二つであるエンライト・ピクチャーズとル・ビジョン・ピクチャーズを創設し、中国映画産業のグローバル化において、長年のキャリアを誇る。2011年にル・ビジョン・ピクチャーズを創設し、100本以上の映画を配給した。そして2016年、同社はすべての公開作の合計で1億元以上の収益を上げて業界の奇跡を作り出し、非常に大きな成長を遂げた。さらに同年、ハリウッド・リポーター誌での中国人パワー・プレイヤーのトップ10リストで、映画業界のリーダーとして名前が挙がった。
2017年、ル・ビジョン・ピクチャーズのビジネス運営を、知的財産権主導のエンターテインメント会社へ転換する作業を指揮し、業界での知的財産権ビジネスの成長を後押しするリーダーとなった。2018年、ル・ビジョン・ピクチャーズが改名したサニバース・エンターテインメントで、会長兼最高経営責任者を務め、ファミリー・エンターテインメントを中心に製作を務めている。
チャン・イーモウ監督作品では『グレートウォール』(16)を手掛けた。